ひとりの猛毒、紡ぐ白
Mustafa Yıldızdoğan - Ölürmüydün (Would You Die?)
(ムスタファ・ユルドゥズドアン ― オルルムゥドゥン)
1966年、トルコ・コンヤ県カドゥンハヌ地区の農家に生まれたムスタファ。
アラベスクと呼ばれる、アラビアやビザンティンを中心に様々な国の影響を受けた音楽ジャンルを
代表する一人である彼は、16歳の頃から独学で作曲やバーラマの演奏を始めました。
2度の音楽会社の移動を経つつ、欧州や米国など海外を飛び回るなど、精力的に活動しており、
その伝統性を重んじた、民族色の強い曲を特徴とする彼の音楽は根強い人気を誇ります。
また彼は、人々が政治に翻弄される状態を変えたいという想いからか、政治に関して言及することも多く、
民族主義者行動党の総会に招かれて歌うといった事もあるようです。去年も招かれてました。
見た目は温厚そうですが、結構カッチリした感じの人なのかも知れません。
以前海外旅行によく行っていたという人が、『トルコの歌は重い』と言っていましたが、
恐らくこういう曲の事を指すのでしょう。
古の空気を仄かに感じさせるトルコ楽器群の妖しくも美しい旋律、
憂えるような歌声、そして内容にもあるように病んだ歌詞。
漠然とした哀愁を終始漂わせる、心に何かを残すような、何とも不思議な一曲。
Dindi sanma, ağrım dindi,
思わないでくれ 僕の痛みが治まるなんて
Sonum yakın gün ikindi,
終わりはもうすぐ 午後の中頃
Bu bedende can senindir,
この身の一生は君のものさ
Sen de beni sevseydin,
君も僕を愛していたというなら
Ölür müydün…?
死んでくれたのかい…?
Bende bu aşk, sende bu naz,
僕にはこの愛 君にはその媚び
Sen bahar yaz, bende ayaz,
君は春と夏 僕には霜が降りている
Maraz ettin beni maraz,
僕が病んだのは 君のせいさ
Sen de beni sevseydin,
君も僕を愛していたというなら
Ölür müydün…?
死んでくれたのかい…?
スポンサーサイト
なぜ、と。
Анюта Славская - Зима (Winter)
[Anyuta Slavskaya - Zima]
(アニュータ・スラフスカヤ ― ジマ)
アーティスト活動に加え、聖歌隊の指導やテレビ番組の司会などの活躍も見せる、
ウクライナ東部・ドネツィク出身の女性ポップシンガーの、色気のある歌声と
煌めくようなサウンドが舞い踊るキュートな一曲。ご覧のようにスゴく美人な方です。
そういえばウクライナはロシェンのお菓子とウォッカのネミロフが有名でしたっけ。後者は今度買ってみます。
未だ混乱状態にあるウクライナの情勢ですが、振り積もる雪の中、無邪気な笑顔で遊ぶ子供たちを
わだかまりのない穏やかな表情で大人たちが見守る、そんな日は来るのでしょうか…。
Все вокруг - белый снег, над землёю кружится
Vse vokrug - belyy sneg, nad zemloyu kruzhitsya
すべては 真っ白な雪 回る大地の上で
Новый год - детский смех, от тебя нам не скрыться
Novyy god - detskiy smekh, ot tebya nam ne skryt'sya
新しい年 子供たちの笑い声 あなたから抜け出せないの
Ровно в 12 куранты, стрелки напомнят о главном
Rovno v dvenadsat kuranty, strelki napomnyat o glavnom
12時のチャイムが鳴れば 針が示すのはお家のこと
И волшебство станет явным…, Зима…Зима…Зима!
I volshebstvo stanet yavnym…, Zima…Zima…Zima!
魔法が解けていく… 冬がきたの
Закружил снегопад желанья в отраженин хрусталя
Zakruzhil snegopad zhelan'ya v otrazhenin khrustalya
舞い散る雪の願いを 結晶に映し出した
Подарила свое сияние, ах, зима, зима
Podarila svoyo siyanie, akh, zima, zima
光をくれたのはあなた そう 冬だから
Улыбнулась зима, и, снежинками падая
Ulybnulas' zima, i, snezhinkami padaya
ほほえむ冬 そして 粉雪が降る
Мне сказал она, что ещё нас порадует
Mne skazal ona, chto yeshcho nas poraduyet
ほら 言ったでしょ こんなに楽しいことなんてないって
Время для новых открытий
Vremya dlya novykh otkrytiy
新しい発見がありそうな時ね
И грандиозных событий
I grandioznykh sobytiy
素敵な出来事もありそう
Нарисовал синий иней,…Зима…Зима…Зима!
Narisoval siniy iney…, Zima…Zima…Zima!
霜が青く染まってる ああ 冬なのね
Ла-ла-ла… (Ах зима-зима, а я люблю зиму, ЗИМА…)
La-La-La… (Akh zima-zima, a ya lyublyu zimu, ZIMA…)
LA-LA-LA… (冬だなあ わたし冬って大好き 冬がね…)
緩やかに、ブロンズの心で
Ramsen Sheeno & Randa Yaqoub
- Sogol D’Khayee (Dear Of My Life)
(ラムセン・シーノ&ランダ・ヤコブ ― ソゴル・ド・ハイー)
アラブのコミュニティ関連イベントで幅広い活躍を見せる、イラク・バグダッド出身シカゴ育ちのラムセンと、
オーストラリアを拠点に活動する、中東湾岸地帯有数の実力派マダムシンガー・ランダの
アッシリア&カルデア系シンガー二人による、門出の恋人たちを優しく包み込むような、
淑やかなムードに酔いしれるバラード曲。
冒頭にあるように、知人の結婚式のあたって作曲されたもので、アッシリア系のパーティで時折歌われています。
結婚式・披露宴の選曲にお悩みの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご検討されてみてはいかがでしょうか?
歌詞はアラビア語に翻訳されていたものを、さらに和訳したものです。
シリア語の歌詞は原文・音訳ともにほとんど見つかりませんでした。
二重の翻訳を経たことで歌詞のニュアンスが本来のものとズレている部分があると思いますが、ご了承ください。
また、大まかな歌唱部分が分かるよう、判明している部分の音訳だけを記載します。
(Ramsen)
--- orkha --- beelakh, libbi --- qam ---
君と僕が互いの道を交えた時 僕の心はすぐ恋に落ちた
Edyom --- teelokh, libbi min omqa ---
今日この日 答えを出すよ 心から愛してるんだ
(Randa)
--- raba libbi ---, ayni b’aynatokh hich ---
私の心は何度も捉われそうになり 貴方とは目を合わさずにいた
--- min marya ---, edyom go libbi ---
だけど神様が 私に告げたの 今この心にいる唯一の人を
(サビ:Ramsen ⇒ Randa)
Ya sogol d’khayi, ya khobi khaya
あなたはこの人生の愛しい人 ただ一つの愛
Hamasha amit o bit libbi d’khaya
いつも心に息づいている
En zona dair o makhbin shoraya
iいつか誰かがこの関係を終わらせたとしても
Mdre qa diyakh/diyokh msharin baya
この愛は永遠のものだと 最初に誓ったのだから
(Ramsen)
--- b’idi, --- go pati
僕の手を取って 顔を見て
Da --- shlya ---
この静かな物語には 君と僕だけ
Malikta --- kol leleh o atee
どんな夜でも君は僕の女王
Libbi pirdesakh, qasrakh aynati
この心は君の楽園で 君の王宮は僕の目さ
(Randa)
--- idokh b’idi, --- go pati
貴女の手を握らせて 私の顔を見て
Da raqdan shlya ---
この静かな物語には 貴女と私だけ
Akh --- d’qasre d’khayotee
この人生という名の王宮を支配する王様のよう
Ana malikta, khobokh, ---
私は女王 貴女の愛で 私という名の存在
(サビ:Ramsen ⇒ Randa)
(サビ:ラスト)
Tirwan da yoma ---
共にこの日を待ち侘びていた
--- khoban --- libban doire
この愛に通じる心の扉に気付いていなかった
---
私たちの約束が変わることはない
Makh qadri ---
まるで崩れる事のないロウソクの姿のように
夢・媚態・枕
Նարեկ Բավեյան - Ուր Գնաց (Wherever She Went)
[Narek Baveyan - Ur Gnac]
(ナレク・バヴェヤン ― ウル・グナツ)
アルメニアの音楽シーンを牽引する男性ポップスシンガー・ナレク。
彼は9歳の頃から歌い始め、『ドレミの歌コンクール』に入賞するなど早い時から頭角を現し、
後にステパナケルトで開催された音楽祭『Yntsa』(インツァ)にも参加しました。
現在ではミュージカルへの出演や、アルメニアのコメディ番組『ドミノ』のサントラの
プロデュース、及び俳優を担当するなど、精力的な活動を行っています。
また彼は、エレバンにあるコミタス国立音楽院・ジャズポップ声楽科の卒業生でもあります。
彼は前述したようにポップスシンガーに分類されているものの、その音楽スタイルは非常に個性的で、
フォーク、ロック、シンセ、ポルカなど様々なジャンルをミックスした多種多様な楽曲を持ち味としています。
この曲も御多分に漏れず、軽快なサウンドに、ナレクのセクシーな歌声が踊る
ジャンルレスな魅力に満ちた曲となっています。
Սարի տակին, ամպի հովին
Sari takin, ampi hovin
山のふもと 雲を吹く風
Աչքերս յարիս ճամփին
Achqers yaris champin
僕の目は路上の君を見ていた
Մենակ թողել գնացել է
Menak toghel gnatzel e
彼女は一人で行ってしまった
Վայ աման, աման
Vay aman, aman
OH MY DEAR, MY DEAR
Սիրուն հավքեր, զուլալ ջրեր
Sirun havqer, zulal jrer
美しい鳥たち 澄んだ水
Արդյոք տեսաք իմ յարին
Ardyoq tesaq im yarin
君は僕の愛を知っていたのだろうか
Սիրտս առել, գնացել է
Sirts arel, gnatzel e
僕の心を持ち去っていった
Վայ աման, աման:
Vay aman, aman
OH MY DEAR, MY DEAR
Արևից պոկված պատկերը
Arevitz pokvats patkere
太陽がその身を揺らめかせ
Ինձ արել է խելքահան:
Indz arel e khelqahan
僕を楽しませたんだ
Ախ ուր գնաց, յարս մնաց
Akh ur gnatz, yars mnatz
どこに行っていても 待っているさ
Քո կարոտից ես կթաքցնեմ արցունք ու լաց
Qo karotitz es ktaqtznem artzunq u latz
君への涙と声を隠しながら
Ուր գնաց, սերս մնաց
Ur gnatz, sers mnatz
どこに行っていても 愛し続けるさ
Սև աչերը իմ դարձել են արցունք ու լաց:
Sew achere im dardzel en artzunq u latz
その黒い瞳が涙を流しても
Հազար հազար աղջիկների
Hazar hazar aghjikneri
何千人もの女の子に
Հանդիպել եմ ու անցել
Handipel em u antzel
出会っては通り過ぎた
Ծարավ սիրուս ճար չեմ տեսել
Tsarav sirus char chem tesel
この渇いた愛を癒せそうな子はいなかった
Վայ աման, աման
Vay aman, aman
OH MY DEAR, MY DEAR
Ոլոր-մոլոր հեռու ճամփեք
Volor-molor heru champeq
複雑な気分さ もうあの道は遠いんだ
Գոնե մի խաբար բերեք
Gone mi khabar bereq
いずれは知らせも来るだろう
Անուշ քունս կորցրել եմ
Anush quns kortzrel em
心地よい眠りも失くしてしまった
Վայ աման, աման:
Vay aman, aman
OH MY DEAR, MY DEAR
Քամուց ալիքված մազերդ
Qamutz aliqvats mazerd
風が君の髪をなびかせ
Ինձ արել են խելքահան:
Indz arel en khelqahan
僕を楽しませたんだ
出で逢へば いずれは至る 小袖かな
少々遅れ気味ですが、2016年、明けましておめでとうございます。
今年も海外の様々な楽曲を紹介していきますので、皆様に閲覧いただければ嬉しい限りです。
よろしくお願いいたします。
今年度初めての曲を何にするかかなり迷ったのですが、後述の理由でこれがベストかなと思いました。
Ashur Bet Sargis
- La Khashwat Ate Youma (Don’t Think The Day Comes)
(アッシュル・ベイト・サルギス ― ラ・ハシュワット・アティ・ヨウマ)
国際的な活動を展開する、イラク・バグダッド出身、米国在住の歌い手アッシュル。
優れた作詞家として評判が高く、現代アッシリア音楽の立役者的存在とされています。
彼は10代の頃より、地元の青少年バンドに参加、教会でオルガンを演奏するなどの活動をしていました。
学校を中退し兵役を終えた後、1年間のレバノンでの滞在を経てアメリカへ移住。
ソロや自身が設立したバンド『East Bird Band』のメンバーとして活躍し、数多くのヒット曲を送り出しました。
ファンの間では『プリンス・オブ・ロマンス』と呼ばれているようです。
政治に関しても活動的で、世界各地でアッシリア民主運動・通称Zowaaの支援も行っています。
今のシリアの情勢を、彼はどう思っているのでしょうか…。
この曲は、私が中東音楽にハマる切っ掛けとなった曲です。
初めてこの曲を耳にした時、まるで昭和の歌謡曲のような曲調に懐かしさを覚え、心を打たれました。
そして曲の情報を探し出し、その後も他のシリア楽曲を貪るように聴きました。
その過程でシリア語をいくつか覚え、元々学んでいた英語や、一時期メソポタミア関連にハマってた際に齧った、
多くの中東諸語の源流とも言える古代アッカド語などと併用し、周辺国や同系統の語族・語派の情報、
および各国の音楽を知るためのツールとして活用、そして現在に至ります。
未だに歌詞の全容は聴き取れていませんが、私が今の充実した音楽ライフを送れているのも、この曲あってこそなのです。
以下の曲も良い感じです。
Ashur Bet Sargis - Sara D’Matan (Our Village’s Moon)
(アッシュル・ベイト・サルギス ― サラ・ド・マタン)
Ashur Bet Sargis - Pokha D’Sitwa (Winter Wind)
(アッシュル・ベイト・サルギス ― ポカ・ド・シトワ)
今年も海外の様々な楽曲を紹介していきますので、皆様に閲覧いただければ嬉しい限りです。
よろしくお願いいたします。
今年度初めての曲を何にするかかなり迷ったのですが、後述の理由でこれがベストかなと思いました。
Ashur Bet Sargis
- La Khashwat Ate Youma (Don’t Think The Day Comes)
(アッシュル・ベイト・サルギス ― ラ・ハシュワット・アティ・ヨウマ)
国際的な活動を展開する、イラク・バグダッド出身、米国在住の歌い手アッシュル。
優れた作詞家として評判が高く、現代アッシリア音楽の立役者的存在とされています。
彼は10代の頃より、地元の青少年バンドに参加、教会でオルガンを演奏するなどの活動をしていました。
学校を中退し兵役を終えた後、1年間のレバノンでの滞在を経てアメリカへ移住。
ソロや自身が設立したバンド『East Bird Band』のメンバーとして活躍し、数多くのヒット曲を送り出しました。
ファンの間では『プリンス・オブ・ロマンス』と呼ばれているようです。
政治に関しても活動的で、世界各地でアッシリア民主運動・通称Zowaaの支援も行っています。
今のシリアの情勢を、彼はどう思っているのでしょうか…。
この曲は、私が中東音楽にハマる切っ掛けとなった曲です。
初めてこの曲を耳にした時、まるで昭和の歌謡曲のような曲調に懐かしさを覚え、心を打たれました。
そして曲の情報を探し出し、その後も他のシリア楽曲を貪るように聴きました。
その過程でシリア語をいくつか覚え、元々学んでいた英語や、一時期メソポタミア関連にハマってた際に齧った、
多くの中東諸語の源流とも言える古代アッカド語などと併用し、周辺国や同系統の語族・語派の情報、
および各国の音楽を知るためのツールとして活用、そして現在に至ります。
未だに歌詞の全容は聴き取れていませんが、私が今の充実した音楽ライフを送れているのも、この曲あってこそなのです。
以下の曲も良い感じです。
Ashur Bet Sargis - Sara D’Matan (Our Village’s Moon)
(アッシュル・ベイト・サルギス ― サラ・ド・マタン)
Ashur Bet Sargis - Pokha D’Sitwa (Winter Wind)
(アッシュル・ベイト・サルギス ― ポカ・ド・シトワ)